音もなく降り積もっていくいとおしさ。






□ 秘密 □






決して望んでもいないのに、また見つけてしまう。
彼女が望まないことも知っていたのに、また雪音のときのようにヒトノモノを好きになってしまった。
音もなく降っていたいとしさに何故、気付いてしまったんだろう。
どうして閉じていたはずの気持ちが動いてしまったんだ。
それは後悔と共に喜びも伴っている。
依織は思う。


ただ…


「どうしたの?」


はっと気付くと、見ていたもう二時間サスペンスは終わっていて、次週の予告がテレビ画面に映っていた。
途中まで推理していたが、犯人は主人公と行動を共にしていた女刑事で良かったのだろうか。
確証はもてないでいたが、かなりの確立で彼女が犯人であろう…しかし、答えはわからない。


考えに耽っていると心配そうに顔を覗いている愛しい人。


「体調悪いの?大丈夫?」


そんなよくある気遣いさえ、むぎが言うと特別に感じる。


「だいじょうぶだよ」


「そう、よかった」


無防備にほほえむ、むぎに、微笑み返す。
「そんなふうに微笑んでは駄目だよ」。
そんなふうに言えたらどれだけいいか…。
告白も出来ない。
むぎを苦しめたくないから、と依織は思う。


どこまでも、ただ君が幸せになってくれれば…
そんな陳腐な、でもとても自分の気持ちを言い当てているような言葉を吐いてしまいそうになる。


恋心も嫉妬も幸せを祈ることも、そっと心の中だけで完結してしまおう。


そう、思っていたのだが、そう…


『幸せになってくれれば』


今、彼女は幸せと言えるのだろうか…何年も恋人を待つというのは本当に幸せなのだろうか。


いや、幸せになってくれればなんて言い訳だ。
ただ、告白してしまいたいんだ。
少女があまりにも愛しくて愛しくてそれが溢れて止められないから…


でも、それは彼にあまりにもアンフェアではないであろうか。
だからせめて…賭けてみよう。
ちょうど先程見ていたサスペンスを思い出しながら依織は告白する理由か諦める理由を欲し…少し逡巡しながらも言葉を放つ。
手が少し震えているのを感じながら。


「むぎちゃん…」


「ん?」


間違っていれば一生胸のうちに秘める。
当たれば…


「さっきのサスペンス、犯人誰だった?」















365 Themes 1-100/NOVEL





…答えは……?一番嫌なのは、「ごめん、見てなかった」




07.03.20